地球の温暖化はますます激しく複雑になり、地球のあちこちで異常現象が起きています。NASAでは、多数の観測機からの、ほぼリアルタイムなデータとイメージを使って、地球全体を監視しています。左の図はその艦隊の一部です。このコーナーでは、年単位の、地域別の、あるいは総合的な、気象環境やその分析などを掲載しています。
なお、2025年以前の記事は削除しています。

2月26日(木)
気象科学における10の新たな知見
(ヨーロッパ宇宙機関)

世界の気象指標は警戒の原因が増していることを示している。世界気象機関は2024年が記録上最も暑い年であることを確認した。この温暖化は、記録的な海水温と海面の上昇、急速な氷河の減少、南極の海氷の減少、そして極端な気象の頻度と重なった。

このような激化する変化の背景の中で、科学者達は何が起きているかを記録するだけでなく、その影響を理解し意思決定者に伝えるために急いでいる。

毎年、未来の地球(Future Earth)、地球リーグ(Earth League)、世界気象研究計画は、世界中の第一線の研究者達を集め、気象研究における最も緊急の進展を評価している。彼らの使命は、最新の査読付き文献に基づき、気象変動研究の多様な分野にわたる重要なメッセージを統合し、「10の新しい気象科学」を生み出すことである。

2025年版は、学術論文および科学・政策報告書として発表され、2024年1月から2025年6月に発表された研究に基づいている。

この新しい読みやすいガイドは、70人以上の研究者達が、世界中の150人以上の専門家の意見を取り入れ、最新の発見を、明確で政策に関連した洞察に凝縮し、2026年以降の意思決定における新しい科学的証拠のタイムリーな導入を支援するものである。

・・・ 中間略 ・・・

1. 2023–2024年の記録的な暖かさが新たな疑問を投げかける
エルニーニョの状況の移行は最近の極端な気温の極端な変化を増幅させたが、自然の変動だけでは異常の規模を説明することはできない。地球のエネルギー不均衡が急激に増加していることは、地球温暖化が加速していることを示唆している。 この文脈で、ヨーロッパ宇宙機関の気象変動イニシアティブのMOTECUSOMAプロジェクトは、必須気象変数を用いて地球のエネルギー不均衡の変化を定量化し、温室効果ガス排出の増加に伴う気象システムの変化を検証している。

2. 急速な海洋温暖化と海洋熱波の激化
海面の温度はかつてない速さで上昇しており、海洋の熱波はより激しく、長引くものとなっている。これらの変化は深刻な生態系被害をもたらし、沿岸の生計を損ない、極端な気象リスクを高め、海洋の炭素吸収能力を弱めている。

3. 世界の土地の炭素吸収の弱体化
2023年の陸上炭素吸収の大幅な減少は、大気中にさらに炭素が残り、残された炭素の余裕が縮小する懸念を呼んでいる。かつて比較的回復力があったと考えられていた北半球の生態系は、一層の山火事や永久凍土の融解の影響を受けている。

この洞察は、主に、気候変動イニシアティブのRECCAP-2プロジェクトを通じて利用可能なデータセットに基づいており、地球規模の炭素源と吸収源を明らかにしている。

右下のイメージは、2010年と比べて北部の生態系の炭素貯蔵量の変化を示しており、2016年以降のバイオマスの減少を示している。これは植生から大気への炭素放出がさらに増えるサインかも知れない。

4. 気候変動と生物の多様性の喪失は互いに増幅し合う
増え続ける証拠は、気候の変動と生物多様性の減少が不安定化をもたらすフィードバックループとして相互作用し、生態系の回復力と炭素の貯蔵を脅かしていることを示している。リオ条約全体でのより強力な調整は、相乗効果を最大化し、政策の断片化を避け、生物多様性のある生態系や自然の炭素吸収源の保護と回復を優先できるだろう。

衛星の観測は、様々なイニシアティブを通して、生態系の種類、範囲、動態を追跡し、気候変動の下での生態系機能をも追跡することで、この分野で大きな貢献をしている。これらの機能の効果的な活用は、多様で補完的なデータソースとの統合に依存する。

5. 気候変動が地下水を枯渇させる
地下水は過去数十年よりも速く枯渇しており、気象変動は帯水層の再充填を妨げ、社会経済的需要の高まりによって採掘が増加している。その結果として、農業や食料安全保障のリスクが高まり、土地の沈下や沿岸地域での海水侵入が含まれている。

この知見は主に米独GRACEミッションのデータに基づいており、さらに地域別の研究ではコペルニクスセンチネル1号を用いた高解像度沈下情報が得られている。

6. 気候変動がデング熱の世界的な急増を牽引している
デング熱は史上最大の世界的な流行として急増している。気温の上昇によって蚊の生息地が拡大し、感染期が延びており、都市化、世界的な移動、廃棄物管理の不備の影響を悪化させている。医療システムはすでに負荷を受けており、今世紀に入ってさらにリスクが増加すると予測される。

7. 熱ストレスが労働生産性と所得を低下させている。
気象変動による熱ストレスは、特に発展途上国で労働生産性と所得を侵食しているが、経済的影響は、更に世界のサプライチェーンや貿易ネットワークを通じて波及している。

8. 二酸化炭素除去は安全かつ責任を持って拡大しなければならない。
二酸化炭素除去は残留排出物の対処と気象リスク管理のために必要となる。しかし、これは、排出の削減を補完するものであって、代替するものではない。明確な国際的ガバナンスの枠組み、持続的な研究とイノベーション、強力な環境・社会的保護策は、拡大する二酸化炭素除去のギャップを埋め、長期的な気象安定を支えるために不可欠である。

9. カーボン・クレジット市場の健全性強化
カーボン・クレジット市場の急速な拡大は、過大評価されたシークエステレーションや弱い追加性など深刻な健全性の問題を露呈させている。質の低いクレジットに依存すると、実質的な脱炭素化が遅れるリスクがある。基準、透明性、ベンチマーキングの新たな改善、また、クレジットをオフセットではなく寄付として捉えるシフトが、より信頼できる市場への道筋を提供する。

<参考>:カーボン・クレジット(carbon credit)
二酸化炭素ガスCO2による地球温暖化防止のために、各国のCO2発生量の限度量を決め、それを超える国は他の超えていない国からCO2発生の権利を買う仕組み(カーボン・トレード・システム)。

10. 政策パッケージ
単一施策を上回る統合型政策の組合せは、単独の介入よりも一貫して大きな排出削減を達成する。炭素価格設定と化石燃料補助金改革などの施策を組み合わせたアプローチは特に効果的であるが、政策設計は各国の文脈を反映しなければならない。部門横断の調整された戦略と調和のとれた報告は、インパクトと共有された学びをさらに高めることができる。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。右上のイメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>:  Observing the Earth

 

 2月25日(水)
宇宙からの地球:グリーンランド国立公園北東部
(ヨーロッパ宇宙機関)

グリーンランド国立公園北東部の氷の風景の一部が、コペルニクスセンチネル2号ミッションによって撮影されたこのイメージに写っている。

拡大して、このイメージを 10 m のフル解像度で探索しよう。

北大西洋に位置するグリーンランドは世界最大の島であり、世界最大の国立公園北東グリーンランド国立公園がある。公園の面積は972,000平方キロメートルで、これはスペインとフランスを合わせた面積にほぼ相当し、領土の約80%は、南極大陸に次ぐ世界第2位の氷床、巨大なグリーンランド氷床の下に恒久的に敷かれている。

この夏のイメージでは、土の色は明るい茶色から濃い茶色まで変化し、氷と雪は白で現れ、水がさまざまな青色を示している。

右側の大きな青い領域はダブ・ベイ(Dove Bay)で、部分的には氷がないように見えるが、海流と風による季節的な亀裂がある。

湾の北、ゲルマニアランド(Germania Land)半島の南岸、右上隅ににはダンマルクスハウン(Danmarkshavn)気象観測所があり、常設の 6 人チームが、国際的な気象予報モデルで使用される気象データを収集している。ダンマルクスハウンは、世界で最も孤立した人が住んでいる観測所の 1 つである。氷の状態にもよるが、砕氷船がアクセスできるグリーンランド東海岸の最北端の場所としても知られている。

特にイメージの中央付近を拡大して見ると、氷の中に青い斑点として見える融解池とともに、多くの氷河とその氷の流れが描かれている。融解池は、春から夏にかけて空気が暖まり、グリーンランド氷床に太陽が降り注ぐと、海氷と氷床の両方に形成される広大な開放水域のプールである。氷河の表面で雪や氷が溶けると水が水路や小川を流れ、表面の窪みに集まり、池が形成される。

融解池は、太陽光を反射する能力を低下させることで氷の融解を加速し、熱吸収を高め、氷の融解をさらに加速する。これらの海氷の融解は世界の海面には直接は影響しないが、これらのプロセスによって強化された陸上の氷の融解の加速が海面上昇の一因となる。

海面の上昇は、世界中の沿岸地域で洪水のリスクを高め、北極海の海洋生態系に影響を与え、海洋と大気の循環パターンを変化させ、地球上の気象条件に影響を与える。

これらの衛星のイメージは、急速に変化するグリーンランド氷床をマッピングするために不可欠である。宇宙からの観測は、気象モデルが氷床の融解をどのようにシミュレートするかを検証するために使うことができ、グリーンランドが将来世界の海面をどれだけ上昇させるかを、より正確に予測できるようになる。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>:  Observing the Earth (ESA)

2月24日(火)
地中海の熱波
(ヨーロッパ宇宙機関)

毎年、世界の主要な気象科学者達は、地球がどのように変化しているかについて、最も重要な証拠を評価している。彼らの評価は、地球観測衛星のデータに大きく依存しており、最新の「気象科学における10の新しい見方(10 New Insights in Climate Science)」報告書は、厳しい警告を発している。地球のエネルギーバランスは一層ずれており、海洋はかつてない速度で温暖化し、陸地の炭素吸収能力が低下するなど、他にも憂慮すべき傾向が続いている。

ここでは、海洋の熱波が、より激しく、長引いていることを浮き彫りにしている。これらの変化は深刻な生態系の被害をもたらし、沿岸の生計を損ない、極端な気象のリスクを高め、海洋の炭素吸収能力を弱めている。

こもイメージは、2023年8月の地中海における海面温度の異常を、1985年から2005年と比較して示しており、生物の多様性喪失の2例を浮き彫りにしている。

<ひとこと>: イメージをクリックして大判で確認。左側には魚類の群れの喪失、右には軟体海洋生物の喪失地域が示されています。

<出典>:  Week_in_image (ESA)


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